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低雑音グローバルシャッタCMOSセンサ

CMOSイメージセンサは低ノイズ化が進み、最近ではCCDイメージセンサと同等以上の画質が得られるようになっています。しかし、この低雑音特性はローリングシャッタ動作に限られています。ローリングシャッタはCMOSセンサ特有の電子シャッタ方式であり、高速動作する被写体において歪みが発生するという問題があります。これを解決するためには、電子シャッタ方式をグローバルシャッタに変える必要がありますが、従来のCMOSイメージセンサでは、グローバルシャッタ動作においてkTCノイズ(またはリセットノイズ)と呼ばれる大きな雑音が除去できずに画質が大幅に劣化します。

低雑音グローバルシャッタを実現するために、我々は図1に示すような2段転送型画素構造を提案しています。通常、CMOSセンサでは画素内で1段転送を行いますが、提案する画素構造では埋め込み型の蓄積ダイオードを新たに追加し、画素内で2段の電荷転送を行うことが可能です。1段目の転送をグローバルシャッタ動作に、2段目の転送をkTCノイズのキャンセルに利用することができるため、低雑音グローバルシャッタが実現できます。

図3に試作したCMOSイメージセンサ(図2)の撮像例で、(a)提案する2段転送動作による撮像例、(b)従来構造による撮像例として従来との比較を示しています。暗時雑音レベルは2.7電子まで低減でき、従来に比べて10倍以上の低雑音特性が得られることを実証しました。シャッタ効率は99.7%を達成しています。

この成果は、集積回路分野で最高峰の国際会議であるISSCC 2010で発表しました。

図1 2段転送型画素構造 図2 試作したCMOSセンサ


図3 試作したセンサでの撮像例

文献

  1. K. Yasutomi, Y. Sadanaga, T. Takasawa, S. Itoh, S. Kawahito,"Dark Current Characterization of CMOS Global Shutter Pixels using Pinned Storage Diodes," Proc. 2011 Int. Image Sensor Workshop(IISW), pp.185-188, Hakodate, Jun. 2011.
  2. K. Yasutomi, S. Itoh, S. Kawahito,"A Two-Stage Charge Transfer Active Pixel CMOS Image Sensor with Low-Noise Global Shuttering and a Dual Shuttering Mode," IEEE Trans. Electron Devices, Vol.58, No.3, pp.740-747, Mar.2011.
  3. K. Yasutomi, S. Itoh, S. Kawahito,"A 2.7e- temporal noise 99.7% shutter efficiency 92dB dynamic range CMOS image sensor with dual global shutter pixels," IEEE Int. Solid-State Circuits Conf.(ISSCC) 2010, Dig. Tech. Papers, pp398-399, San Francisco, Feb.2010.
  4. K. Yasutomi, S. Itoh, S. Kawahito, T. Tamura,"Two-stage charge transfer pixel using pinned diodes for low-noise global shutter imaging," Int. Image Sensor Workshop, pp.333-336, Bergen, Jun.2009
  5. K. Yasutomi, T. Tamura, M. Furuta, S. Itoh, S. Kawahito," A high-speed CMOS image sensor with global electronic shutter pixels using pinned diode," IEEJ Trans. on Sensors and Micromachines, vol.129, no.10, pp.321-327,Oct.2009.

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